セックスレスを「努力不足」にしない——不妊治療と夫婦生活の負担を分けて話す7つの整理

セックスレスを「努力不足」にしない——不妊治療と夫婦生活の負担を分けて話す7つの整理

りなお@みんなの知恵袋

りなお@みんなの知恵袋

対象:妊娠を望んでいるものの、性生活や不妊治療が夫婦のストレスになっている20代・30代・40代の男女
この記事の目的:性交回数を増やすことを唯一の解決にせず、妊娠、治療、親密さ、仕事、お金、同意の問題を分けて話せるようにすること

「排卵日だから、今日しないと」

「治療を始めたら、セックスが検査のようになった」

「通院している方ばかり大変に見えるけれど、自分もつらい」

「断ったら、子どもを望んでいないと思われそう」

妊娠を望む夫婦にとって、性生活と不妊治療は別々の問題ではありません。

しかし、全部を一つにすると、話し合いは「する・しない」「治療を続ける・やめる」の二択になりやすくなります。

必要なのは、夫婦生活を採点することではなく、何がどちらに負担をかけているのかを分けることです。

最初に:妊娠を望んでいても、性交への同意は毎回必要

妊活や不妊治療中であっても、どちらかが嫌がる性交を強いることは解決策ではありません。

「今月を逃したら後悔する」「治療費を払っているのだから」と迫ることも、相手の痛みや恐怖を軽く扱うことにつながります。

性交を断ることと、子どもを望んでいないことは同じではありません。

痛み、出血、強い不安、勃起や射精の困難、気分の落ち込みなどがある場合は、無理に回数を増やさず、産婦人科、泌尿器科、生殖医療の医療機関などへ相談してください。

不妊症の「1年」は、性交を強制する期限ではない

日本産科婦人科学会は、妊娠を望む健康な男女が避妊をせず性交しているにもかかわらず、1年間妊娠しない場合を不妊症としています。

一方で、排卵がない、子宮内膜症などの病気がある、年齢を考慮する必要がある場合などは、1年を待たずに検査や治療を始めた方がよいこともあると案内しています。不妊の原因は女性側、男性側、双方、原因不明の場合があります。

参考:不妊症|日本産科婦人科学会

「1年間、決められた日に必ず性交しなければならない」という意味ではありません。

性交そのものが難しい、夫婦の負担が大きい、年齢や持病が気になる場合は、期間だけで判断せず医療機関へ相談してください。

まず、負担を六つに分ける

1.身体の負担

・検査、採血、注射、採卵、採精
・薬の副作用や痛み
・通院後の疲労
・性交痛、勃起や射精の困難

処置を受ける側の身体負担は見えやすい一方、採精や性機能の悩みを抱える側も、恥や失敗感を抱えることがあります。負担を競わせないことが重要です。

2.時間の負担

・排卵日に合わせる予定調整
・急な通院や待ち時間
・仕事の遅刻、早退、休暇
・家事や育児の穴埋め

厚生労働省は、不妊治療と仕事の両立が難しい理由として、通院回数、精神的負担、日程調整の難しさを挙げ、不妊治療連絡カードなどの支援情報を公開しています。

参考:不妊治療と仕事との両立のために|厚生労働省

3.お金の負担

2022年4月から、人工授精などの一般不妊治療や、体外受精・顕微授精などの生殖補助医療の一部が保険適用になりました。

ただし、年齢・回数・施設などの条件、先進医療、交通費、休業による収入減などで、実際の負担は夫婦ごとに異なります。

参考:不妊治療に関する取組|厚生労働省

4.感情の負担

・毎月の期待と落胆
・周囲の妊娠・出産報告への複雑な気持ち
・「自分のせいかもしれない」という罪悪感
・結果を聞く日の緊張
・いつまで続くか分からない疲れ

励ますつもりの「次は大丈夫」「考えすぎ」も、つらさを小さく扱われたように感じる場合があります。

5.性生活の負担

・性交が排卵日の予定だけになる
・触れ合うと「求められる」と警戒する
・断ることへの罪悪感が増える
・性的な失敗を評価されたように感じる
・治療中の身体を見られたくない

頻度だけを問題にすると、親密さを取り戻す前に性交が課題になります。

6.意思決定の負担

・どこまで検査するか
・どの治療へ進むか
・費用をどこまで出すか
・休む、転院する、終える時期
・子どもを持たない人生も話せるか

調べる人、予約する人、医師の説明を覚える人が一方に偏ると、治療を受けていない側が「任せているだけ」に見えることがあります。

整理1:夫婦の目標を三つに分ける

最初に、次の三つを別々に確認します。

1. 子どもを望む気持ち
2. 今、治療へ使える時間・お金・体力
3. 夫婦として親密さを保ちたい気持ち

三つは常に同じ強さではありません。

子どもは望むが今月は治療を休みたい。治療は続けたいが性交は休みたい。性交は難しいが、触れ合いは持ちたい。こうした組み合わせもあります。

整理2:「妊娠のため」と「親密さのため」を分ける

性交のたびに妊娠の期待が乗ると、断ることも失敗することも重くなります。

夫婦で次を決めます。

・妊娠を意識する日と、意識しない日を分けるか
・性交以外の触れ合いを何にするか
・治療結果の話をしない時間を作るか
・寝室を相談会議の場所にしないか

手をつなぐ、肩をもむ、一緒に散歩する、同じソファで過ごす。これらを性交への前段階にしないことも大切です。

整理3:断っても関係が壊れない合図を決める

「今日は無理」を拒絶と受け取らない仕組みを作ります。

伝え方の例

子どもを望む気持ちは変わらない。でも今日は身体がつらく、性交には同意できない。明日、治療の選択肢を一緒に整理したい。

受け止め方の例

分かった。今日は休もう。子どもを望む気持ちと、今日できることは分けて考えるね。

断った理由を証明させたり、不機嫌で従わせたりしないことが前提です。

整理4:見えない仕事を一覧にする

次の担当を確認します。

・医療機関を調べる
・予約を取る
・検査結果を管理する
・薬や注射の予定を覚える
・費用を記録する
・仕事を調整する
・家族や職場へ説明する
・通院日の家事を補う
・結果が出なかった日に相手を支える

「通院していない方」は、予約、会計、送迎、家事、情報整理、職場調整などを担当できます。ただし、支えることを理由に治療を受ける本人の意思を奪わないようにします。

整理5:二人で質問し、二人とも検査対象になる

不妊の原因は女性だけにあるとは限りません。

可能であれば二人で受診し、次の質問を共有します。

・現在、何を調べているのか
・それぞれに必要な検査は何か
・選択肢ごとの負担と見込み
・自宅で必要な対応
・性交が難しい場合の相談先
・休む、変更する場合の影響

医師へ聞きたいことを事前に共有メモへ書き、説明を一人だけの責任にしません。

整理6:次へ進む条件と、休む条件を先に決める

治療結果が出た直後は感情が強く、二人とも冷静に決めにくくなります。

治療前に次を仮決めします。

・今回の治療に使う予算
・通院や仕事調整の上限
・何周期・何回ごとに見直すか
・身体症状が出たときの連絡先
・どちらかが休みたいと言ったときの扱い
・転院やセカンドオピニオンを検討する条件

「最後まで続ける」と約束するのではなく、「次の見直し日まで試す」と決めます。

整理7:夫婦だけで解決しない

都道府県、指定都市、中核市などが設置する相談窓口では、不妊に関する医学的な相談だけでなく、心の悩みについて専門職へ相談できる場合があります。

相談先:不妊に悩む夫婦への支援について|こども家庭庁/全国の性と健康の相談窓口|こども家庭庁

医療機関の相談員、生殖心理カウンセリング、夫婦相談なども選択肢です。

話し合うたびに責め合う、性交を強要される、暴言や監視がある場合は、通常の夫婦相談だけでなく、DVなどの相談窓口へ個別に相談してください。

年代別に変わりやすい論点

20代:周囲の「まだ若い」に流されない

・月経、痛み、性機能など気になる症状を放置しない
・仕事を始めたばかりの通院負担を確認する
・親や周囲へどこまで話すか二人で決める

30代:治療・仕事・子育てを同時に抱えない設計をする

・通院する側だけが休暇を使わない
・第一子の育児と治療が重なる場合の家事を再配分する
・昇進、転職、住宅費と治療費を一つの表で確認する

40代:時間の焦りと、説明を受ける権利を両立する

・年齢だけを理由にその場で即決しない
・治療ごとの目的、負担、見直し時期を確認する
・夫婦それぞれの終了条件と、その後の人生を話す

年齢は重要な医療情報ですが、焦りによって同意や説明が不要になるわけではありません。

週20分の話し合いテンプレート

寝室や排卵日の直前を避け、時間を決めて話します。

1. 今週、身体的につらかったこと
2. 感情的につらかったこと
3. 相手に助けられたこと
4. 次の通院と仕事の予定
5. 今週、移す担当を一つ
6. 性交を含む触れ合いについての希望
7. 次に見直す日

避けたい言い方

・本気で子どもが欲しいならできるはず
・通院していない方は楽でいい
・若くないから休めない
・せっかくお金をかけたのだから続けるべき
・普通の夫婦ならセックスする

言い換え例

子どもを望む気持ちの強さを比べるのではなく、今月使える体力、時間、お金を確認したい。性交と治療については別々に希望を聞きたい。

30日間で負担を見直す

1週目:負担を記録する

身体、時間、お金、感情、性生活、意思決定の六つに分けて書きます。

2週目:見えない担当を一つ移す

予約、会計、家事、情報整理などから一つを移します。

3週目:治療と親密さを分ける

治療の話をしない時間と、性交を前提にしない触れ合いを一つ作ります。

4週目:医療者や相談員へ質問する

二人だけで答えが出ない項目を三つに絞り、次回の受診や相談窓口で確認します。

最後に:守りたいのは妊娠の可能性だけではない

不妊治療では、検査結果、年齢、排卵日、回数、費用など、数字が増えていきます。

しかし、夫婦の一方が痛みを我慢し、もう一方が失敗感を抱え、二人とも話せなくなれば、治療以外の大切なものまで失いやすくなります。

セックスレスを責める前に、性交がプレッシャーになった理由を見ます。

治療をやめるか迫る前に、どの負担を減らせば続けられるかを見ます。

そして、続ける場合も休む場合も、どちらか一人の責任にしません。

「子どもが欲しいか」だけでなく、「この過程を二人でどう生きたいか」を話してください。

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自由気ままをモットーにしている2児の父親です。 みなさんの知恵袋になるような恋活・婚活・結婚だけでなく、離婚や再出発に関する記事を中心に発信します。 拍手やお気に入り登録されると今後の記事作成の励みになります。 記事のノウハウを実践してみた感想や、「ここが一番勉強になった!」というポイントをX(旧Twitter)で引用ポストしていただけると大変嬉しいです。

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